秘書の溺愛 〜 俺の全てを賭けてあなたを守ります 〜
藤澤親子のことも、南米での契約も、上手くいく保証は無かった。

もし間に合わなければ、会社は次々に提携先を失って、銀行の融資も受けられなくなっただろうし、桜も、諦めて藤澤の元に行ってしまったかもしれない。

勝手に消えた俺を、許せるはずなんてないのだから。


「直生? どうしたの?」


いつもと違う様子の俺に、桜が問いかけてきた。


「桜・・」


言葉が続かない。
自分を責める言葉しか、浮かんでこなくて。


「直生」

「ん・・」

「私、直生がいなくなって、分かったことがたくさんあった。
でも、本当に大事なことはひとつしかないって気づいた・・」

「え・・それは、何?」

「知りたい?」

「・・もし良ければ、聞きたい」

「直生も、同じだと思うけど」


桜は、俺を見て微笑んだ。




「直生が、そばにいてくれるだけでいい」




「え・・?」


「それだけで、私は幸せなんだ・・って気づいた」


桜・・。


「俺を泣かせて・・・・どうするつもりだよ」


「どうするも何も、明日も明後日も、こうして一緒にいたいだけよ」


「そんなの・・すぐに叶うから・・」


桜が、俺をそんなふうに思っていたなんて。

俺はしばらくの間、桜に抱き締められたまま、同じ言葉を頭のなかで繰り返していた。


『直生が、そばにいてくれるだけでいい』
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