アラサー女子やってたら、知らないうちに母親になっていました。
第二十五章 悲
僕はずっと子供と言う存在を知らん顔していた。当たり前に無視して来た存在を知れば知るほど愛おしくなって来たある日。とてもショッキングな画像が送られてきた。
両方の手足をちぎられて、頭を潰されて、体も潰されて折り畳まれて取り出される赤ちゃん。
僕が1番悲しかったのはゆうちゃんがそれを知っていたことだった。
痛かっただろうに。
怖かっただろうに。
辛かっただろうに。
苦しかっただろうに。
悔しかっただろうに。
悲しかっただろうに。
中絶となると母親の体に傷が付くだの、子供が出来にくくなったり産めなくなったりするとか、母親に関することばかり言われているし、子供に感情なんか無くて、ただ人間の本能として鉗子などから逃げ回っていると言う人もいる。
仕方ない事情で中絶する人も居ると思う。どうしても中絶せざるを得ない人も中にはいると思う。だから、中絶を殺人とは一概に言えないとは思う。
でも、大人の無責任で中絶される子が麻酔もされず痛い思いをして殺される。それをゆうちゃんが覚えていた事、僕はとても悲しかった。
痛い思いをするならちゃんと人間になって関節を曲げてママのお腹から出てくる方が絶対嬉しいはずなのに。
僕はゆうちゃんに記憶を無くしていて欲しかった。いくら命の大切さを母親である僕に伝える役目があるとしてもあの時の恐怖は記憶から消していて欲しかった。
どうして、何も悪い事をしてないこの子がこんな事を覚えているのか。悔しくて悲しくて考えただけで泣きそうになる。

どうか、この小説を読んでくださる方全員に知っておいて欲しい。
ちゃんと命なんです。だから、お腹の中で殺されまいと逃げ回るんだと僕は予想します。感情が有るから生まれようと希望を持つんだと僕は思います。
< 37 / 48 >

この作品をシェア

pagetop