俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「安全性の確保と定時運航の両立って本当に難しいです。交換時期が近い部品を見つけると私は単純にすぐ直そうとしちゃうけど、一度目的地に行って、帰ってきてから直した方が無駄がなくて都合がいい時もある。もちろん、どちらにしろ急ピッチで作業しなきゃならないのは同じですけど」

 結婚して二週間ほどたったその夜も、私は鷹矢さんに仕事の悩みを吐き出していた。

 珍しくお互い夕方で勤務が終わり、お酒が飲みたい気分ではあったが、明日も仕事なのでノンアルコールビールで乾杯した。

 テーブルに並んでいるのは、鷹矢さんお手製のドイツ料理。私もソーセージを焼くのと、ザワークラウトにツナを和える作業を手伝った。

「もっと経験を積めば、どんな時なら直すのか、逆にそのまま飛ばすのかの違いもすぐ判断できるようになるんだろうが、今のお前はとにかく周りの人間から情報を集めるのが大事だろうな。飛んでる時の機体の状態は、俺たちパイロットが一番肌で感じているし、機体後方の異変ならCAの方が敏感に感じ取っている場合もある」
「クルーの話をよく聞く……そうですよね。改めて肝に銘じます」

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