俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 神妙に頷き、ノンアルコールビールを喉に流し込む。

 整備士は机上の勉強も大事だけれど、日々の仕事から得ることも多い。さらに、家に帰ってからもこうして現役パイロットの鷹矢さんから助言してもらえる環境が、本当にありがたい。

「ま、似たような話は上司や先輩からも言われてるだろうから耳にタコかもしれないが、コミュニケーションは大事だからな。そういやずっと気になってたがお前、仲良さそうだよな。運航整備部の男たちと」
「そうですね。みなさんいい人なので、下っ端らしくかわいがってもらってます」

 上司と部下、先輩後輩と言った上下関係はもちろんあるけれど、それ以上に整備士としての仲間意識が強い運航整備部のみんなは、そろって親切で優しい。

 ミスをした時にはもちろん厳しく叱られるけれど、搭乗客の安全に直結する仕事だから妥協できないのは当然。

 そういう徹底した仕事への姿勢を含め、みんなのことを尊敬している。

「職場の人間関係が円滑なのは結構だが、くれぐれも同僚の域を超えて親しくなるなよ?」

 ボソッと低い声で言った深澄さん。乱暴にかぶりついたソーセージを咀嚼する表情は、なぜか険しい。

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