俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
右隣の最上さんの方に少しお尻をずらし、深澄さんを待っていたその時――。
「はぁっ? なんであんな芋っぽい整備士……!」
「深澄さん、ただの気まぐれだとしても、あんな子に手を出したらあなたの価値が下がります。髪が長くなければ、小学生男子と見紛うような服装じゃないですか」
焦りと不満の混じった女性たちの声が聞こえ、私は思わず首を傾げた。
芋っぽい整備士。小学生男子と見紛う服装。もしや、私の話をしている?
見下ろした自分の服は、ゆったりサイズのロゴ入りTシャツにハーフパンツ。店に入るまではキャップもかぶっていたから、そう言われれば確かに小学生男子っぽい。肩下まで伸ばした髪のおかげで、かろうじて女性認定されたみたいだけれど。
「私のことですかね……?」
苦笑しながら自分を指さし、先輩方の顔を見る。
すると石狩さんがカチャンとフォークをさらに置き、細い眉を険しく寄せた。
「だろうな。聞き捨てならねぇ」
「同感です。僕たちの姫になんて暴言を」
「涼野が芋なら自分たちは花だとでも思ってんだろうが……。あんな中身じゃ、せいぜい見た目だけの造花だ」