俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「深澄と別れたら、俺んとこ来い」
え……? どういう意味?
私は目を瞬かせ、呆然と最上さんを見つめる。
――あ、もしかして、実家では勉強しづらいと前に話したのを覚えてくれていて、出戻った私を最上さんの自宅に居候させてくれようとしてるとか?
「ありがとうございます。でも、大丈夫です。実は父とは和解しまして、実家に帰ったとしても勉強の邪魔はもうしてこないはずなので」
「馬鹿、そういう意味じゃねえよ」
「えっ?」
最上さんがベンチから立ち上がり、飲み終わった缶コーヒーを自販機横のダストボックスにガコンと放り込む。
それからこちらを振り返り、見たことのない切なげな表情で言った。
「好きだ」
予想もしていなかった彼の告白に瞠目し、一瞬呼吸を忘れた。
最上さんが、私を……?
整備のことならたくさんの言葉を交わしてきたけれど、そんな風に想われていたなんてまったく気づかなかった。
突然のことすぎて、なんと返したらいいのかわからない。
流れる沈黙を際立たせるように、遠くで鳴くセミの声が聞こえる。