俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「そんなに驚くことですか? 彼女が魅力的な女性だというのは、むしろあなた方の方がよくご存じだと思いますが」
私が魅力的な女性?
お世辞でも言われたことのないセリフなので、感じたことのないむず痒さに襲われる。
「そりゃそうだが、なんで涼野なんだ? 興味本位でちょっかいを出そうとしているなら俺たちが許さないぞ。とりあえずこの手は離せ」
肩に置かれたままだった深澄さんの手を、最上さんが払いのける。
石狩さんと信濃さんも「うんうん」と頷いて同調し、深澄さんに敵意たっぷりの視線を送る。
一方で私はさっきまで深澄さんの手が触れていた肩に無意識で自分の手を置き、必死で状況を理解しようとしていた。
……が、どんなに考えても深澄さんに口説かれる理由なんて思い当たるわけもなく、頭から煙が出そうになるだけ。
いったいどうしてこうなったの……?
「……面倒な小舅たちだな」
私にしか聞こえないほどの微かな声で、深澄さんが呟いた。
小舅って、先輩たちのこと?
なんとなく不穏な空気を感じて深澄さんの横顔を見上げたその時、彼はスッと背筋を伸ばして緊張感のある表情になった。