俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
ずきりと、胸が痛む。
そういえば私、最上さんの告白にちゃんと返事をしてないままだ――。
「あの……っ」
「いいよ、わざわざ言わなくてもわかってる。大体の顛末は信濃に聞いた。お前の大切な相手のこと、疑って悪かったな。深澄は大丈夫か? ちゃんと支えてやれよ」
「最上さん……」
彼の懐の深さを表すようなあたたかい言葉に、胸がじんとする。
最上さんはそれから少し真面目な顔になって、ヘルメットの上から私の頭をポンと軽く叩いた。
「それと、仕事は絶対手を抜かないこと。上司として、お前を早く一人前にしてやりたい気持ちに変わりはないからな。恋愛にうつつを抜かしすぎてぼやぼやしてるようなことがあったら、遠慮なくどやすからな」
今まで通り、最上さんの指導を受けたいと思っていた私にとっては、むしろありがたい提案だ。気まずさを表に出さない大人な対応がありがたくて、私も一生懸命その思いやりに応えたいと思った。
「はいっ! どんどん、どやしちゃってください!」
「ははっ、ドMかよ」
最上さんとはそんなふうに冗談を言い合える関係に戻り、ひと安心。
彼に見守られながら、時に厳しく叱られながら、その週の勤務も順調にこなしていった。