俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

「結構がっつり聞いてたんですね……。でも、その通りです。このまま父を甘やかしていたら、お互いのためになりませんし」

 店の模型を弄ってばかりの父。食事は食べる専門で、裏返しの靴下を平気でそのまま洗濯機に放り込むなどうんざりする行動も多い。

 自分でやってみないと家事の大変さはわからないのに、今までやらせていなかった私も悪いのかもしれない。

「じゃ、俺と結婚しないか?」
「えっ……?」

 またしても、目が点になる。

 聞き間違いだろうか。結婚って聞こえたような。

 怪訝な目で深澄さんを見つめると、彼の瞳は意外にも真剣な色をしている。

「さっきまで一緒だったのは同僚のCAたちなんだが、涼野に対する失礼発言からもわかるようにプライドばかり高い女たちでね。俺は一切興味が持てないんだが、向こうはパイロットが大好物らしくて毎度困ってるんだ。しかし、結婚すればさすがにあきらめてもらえるだろう? ちょうど、親からも結婚をせっつかれていたところだし」

 結婚って、そんな理由でするものだっけ……?

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