俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
彼に借りたTシャツをワンピースのように着ているだけなので、さっきまで身に着けていた少年っぽい私服と特に変わりはないと思うのだけれど、深澄さんはなぜか満足げに頷く。
「……いいな。涼野のくせにあざとい」
「あざとい?」
「褒めてんだよ、こっち来い」
あざといは褒め言葉ではなかった気がするけれど……。
首を傾げながらも、手招きされるまま彼のいるソファに移動する。
少し間を空けて彼の隣に座ったら、太腿の上にどさっと彼の頭が乗った。
「わっ」
これって、膝枕……!?
「おー、いい感じにやわらかくて温かい。このまま寝れそうだな」
「ちょっと、どいてください!」
「疲れてんだよ。もうちょっとこのまま」
深澄さんは心地よさそうに目を閉じてしまう。
ど、どうしたらいいの……。
動くに動けない私は、悶々としながら深澄さんを睨みつけることしかできない。
「そういや涼野」
「は、はいっ」
濃い睫毛に縁どられた切れ長の目がゆっくり開き、下から見上げられてどぎまぎした。
深澄さんはどんな些細な仕草にも大人の色気を漂わせるものだから、心臓に悪い。
「お父さんには連絡したのか?」