俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 まるで目の前にコックピットがあるかのごとく、身振り手振りを交えて説明してくれる深澄さん。彼のソフトランディングは、やはり高度な操縦技術があってこそなんだ。

 イメージしながら話してくれているだけとはいえ、彼のすごさを間近で感じて高揚する。

 それに、飛行機のことを語る深澄さんは……悔しいけれど、やっぱりカッコいい。

「着陸といえば、あとはそうだな。フラップの話はどうだ?」

 主翼に備わるフラップは、必要な時に展開させて飛行能力を助ける装置。翼の面積を増やすことで、着陸時の減速中も飛行を維持できる優れもので、離陸時にももちろん活躍する。

「フラップなくして着陸はできませんからね。ぜひ!」

 こうした人類の科学技術が結集した飛行機には、本当にロマンがたくさん詰まっている。

 やっぱり私、飛行機が大好きだ――。

 興奮気味に返事をした私に苦笑を漏らしながらも、深澄さんはフラップの出し入れについての話を聞かせてくれる。

 翌日はお互いに休日ということもあり、私たちは夜遅くまで飛行機談義に興じた。


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