俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
まだ若い涼野は、他にも吸収しなければならないことがたくさんある。食事やデートに誘ったところで応じる余裕があるとも思えないし、真剣に整備を学んでいる途中の涼野を変な風に刺激したくない。
そうして、彼女を気にかけつつも直接声を掛けることはなく、見守っていたのだが――。
『いっそ家を出ちゃおうかな……』
ワインバーで偶然居合わせた涼野の口から、意外な言葉を聞いた。
彼女の父親が整備士の仕事をよく思っておらず、実家が勉強しづらい環境にあるそうだ。
せっかく本人にやる気と素質が備わっているのに、勿体ない。そんな同情心を抱くと同時に、だったら俺が支えてやればいいじゃないかと思いつく。
職種は違うが、機体について深く理解していなければならいのは、整備士もパイロットも同じ。
朝一番にコックピットの機材を立ち上げるのは整備士であるし、整備責任者が航空日誌にサインしなければ俺たちパイロットは飛行機を飛ばせない。
俺のそばにいることは、整備士として成長を望む涼野にとってきっとメリットがある。