俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
模型店で会った時、七〇年代に流行したヒッピーファッションに身を包んでいた彼女の父親を思い出す。
あの格好で歌うのか……そりゃ、勉強の邪魔だな。
「聞いてないけど、まぁいかにも歌いそうなお父さんだよな。それがどうした?」
「今まではわりと明るい曲調で愛だの平和だの歌っていたんですけど、それがこないだの一件以来、『あ~、親より男を取る我が娘~♪』みたいな、恨みがましい歌ばかりになっちゃって、煩わしさが倍増しているんです」
本気で困っている涼野には悪いが、想像したらつい吹き出してしまった。
彼女の父親は俺が思っている以上に強烈なキャラらしい。いつかは打ち解けてみたいものである。
「それは災難だな」
「だから、すぐにでも荷物を移して深澄さんのマンションに移りたいと思っているんですが、ご都合はどうですか?」
「俺は一向に構わない。というか、鍵を渡してあるだろう? 俺が仕事でいなくても勝手に入って引っ越し作業を進めていいし、泊まりたきゃ泊まっていい。そのための鍵だ」
「よかった……! ありがとうございます」