俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「今夜も夜勤なので、軽くなにか食べたらシャワーを浴びて寝て、出勤前にまたちょっと食べて出かけるって感じですかね」
人のことは言えないが、やはり不規則な勤務である。
物理的に生活がすれ違うのは目に見えているので、契約結婚という手段を選んで、やはりよかったと思う。
「じゃ、実家に送ればいいんだな?」
時間があるなら食事に誘うかマンションに連れ帰るかしたいところだったが、今夜も仕事なら無理はさせられない。
「ええと、本当はそうなんですけど……これから、深澄さんのお宅に行ってはまずいでしょうか? 必要な着替えとかはこのリュックに入っているので」
涼野が遠慮がちに、俺の顔を覗く。俺にとっては渡りに船だが、初心な涼野のことだ。暗に俺を誘っているわけではないだろう。
一緒に帰ろうという提案からして彼女らしくないし、家に帰りたくない事情でもあるとみた。
「別に構わないが、お父さんとなんかあったのか?」
「……はい。父がギターを片手に歌う話は前にしましたっけ?」
なんだそれ……初耳だ。