俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
ぐるぐる考えてパニックになっているうちに、深澄さんがようやくキスをやめてくれた。
それから親指の腹で、私の上唇の輪郭辺りをふにっと押す。
「せっかく綺麗に塗ったのに、キスのせいではみ出しちゃったな」
「それを言うなら深澄さんだって……唇についちゃってます」
キスしたせいで彼の唇にも口紅の色が移って、もともとセクシーな唇がさらに艶めかしく光っている。
うう、なんて目の毒なの……。
「自分じゃ見えないから取ってくれ」
「えっ? ええと、ティッシュはどちらに?」
キョロキョロ部屋を見回すと、深澄さんが自分の唇をトントンと人差し指で示す。
「舐めてくれればそれで済むだろ」
「そんなことするわけないでしょう!」
「残念。じゃ、これ飲んだらゆっくり風呂に入って寝ろ。その間になんか食べられるようにしておく」
「あ……りがとう、ございます」
キスの余韻などすっかり消して、深澄さんがアイスレモンティーのグラスをわたしの手に渡す。