俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
 慌てまくっている私に対し、深澄さんがいたって普通の態度でいるのは、単に経験値の差だろうか。

 国際線でバンバン海外を飛び回っている彼にとっては、キスも挨拶と同じとか?

 毎日挨拶代わりにキスをされるのは、さすがに困るんだけど……。

 気まずさをごまかすようにグラスに口をつけると、よく冷えたレモンティーがのどを潤していった。


 入浴の後、しっかり八時間ほど睡眠をとって目覚めると、ダイニングテーブルには深澄さんお手製の料理が並んでいた。

 目玉焼きののったガパオライスに、エビとパクチーたっぷりの春雨サラダ、辛そうなトムヤムクン風のスープ。どうやらエスニック系のメニューで統一したようだ。

「すごいですね、レストランみたい」

 椅子に座ろうとしたら、深澄さんがさりげなく背後に立って椅子を引いてくれる。

 男性に甲斐甲斐しい態度を取られることに慣れていないので、そんな風にされると気恥ずかしい。おずおず席に着くと、深澄さんも正面の席に座る。

「料理は趣味でね。海外のあちこちへ行くたび、そこで食べた料理の味を覚えて自宅で再現するのが楽しみなんだ」

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