俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない

 とりあえずそのひと言を送った後、【お疲れでしたらモノレールで帰れますので】と打っている途中で既読が付く。

 そして間髪入れずに返信が。

【すぐ行く。コーヒーが飲みたい気分だから空港内のどっかのカフェで待ってろ】

「えっ。カフェ?」

 すぐに家に帰るものだとばかり思っていたから、しばらくスマホを見つめたまま固まる。

 毎日空港で働いているとはいえ、整備士の私は基本的に格納庫と駐機場、バックオフィス、時々利用する社員食堂を行ったり来たりするだけ。

 あのキラキラと明るい旅客ターミナルでコーヒーを飲むなんて、気後れしちゃうな。

 しかも、深澄さんと一緒になんて……。

 なんとなく気が重くなるが、迎えに来てもらう手前文句は言えない。

 少しはお洒落をするべき? といっても、服は着てきた白いTシャツとデニムのサロペットしかないけど……。

 悩んだ挙句、せめてものお洒落のつもりで髪を頭の上でお団子にし、ロッカーの内側に掛けてある鏡を覗く。

 やっぱり華やかさに欠ける……。

 ため息をつくと同時に、そういえばと思い出す。

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