俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
「あ、はい……っ。って今、光里って言いました?」
「ああ。だって光里だろ、お前」
ついドキッとして尋ねたけれど、意識する私の方がおかしいとでも言わんばかりに、深澄さんは平然としている。
「そうですけど、今までは涼野って呼んでたじゃないですか」
「結婚するんだから名前で呼んだ方が自然だろ」
「でも、私たち親しくて結婚するわけじゃ……!」
私の言葉にぴくっと眉を震わせた深澄さんは、私の手首をぐっと掴んで自分の方に引き寄せる。
店内で急に接近され息が止まりそうになっていると、耳元で深澄さんが言う。
「でかい声で俺たちの本当の関係を暴露すんな。親しいフリしとかなきゃ、周りに変な風に思われるだろう。空港では特に派手にアピールしておかないと」
「アピール?」
「そうだよ。ほら行くぞ」
ぽかんとしているうちに、深澄さんが私の手をギュッと握って店の出入り口に向かって行く。これじゃ完全に仲良しカップルの空港デートだ。
試しに手をブンブン振っても彼の手は離れそうになく、頬に熱がのぼっていく。