俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
駐車場に繋がる二階に下りてもずっとその状態なので、私はさらにソワソワしてきた。
ここは出発ロビーの階なので、スカイイーストの関係者もウロウロしている。
深澄さんはアピールだと言うけれど、彼に憧れるCAやグランドスタッフたちが通りかかって手を繋いでいるところを見られたらと思うと、気が気ではない。
「あ、あのう、そろそろ手を離して……」
「お、ちょうどいい。スカイイーストのCA集団が前から来たぞ」
「えっ!?」
放してもらおうと思ったのに、深澄さんはますます繋いだ手に力を籠める。
ぎょっとしながら前方を見ると、出発ロビーの明るい通路をひときわ華やかに彩る五~六人のCAたちが、美しい笑顔を湛えながらちょうどこちらに歩いてくるところ。
私は存在感を消して彼女たちに道を譲りたいのに、深澄さんは彼女たちのいる方向へわざと足を進めだす。
散歩を拒否する犬のごとく抵抗してみたが、男性の力に敵うはずもない。
私は彼の手に引っ張られ、無情にもCA集団のもとへ連れて行かれた。