俺様パイロットは揺るがぬ愛で契約妻を甘く捕らえて逃さない
もう、これ以上変なこと言わないでよ~!
いくら私の役目が女避けだからって、お芝居が過剰にもほどがある!
CAたちはもはや若干引き気味で、手を繋いで目の前を通り過ぎる私たちに生暖かい視線を送っていた。
「深澄さん、いくらなんでもやりすぎです!」
やっと彼に不満を伝えられたのは、駐車場で車に乗り込んでから。
エンジンをかける前のむわっとした車内で、私は助手席から運転席の彼を睨みつけた。
「やりすぎ? あれでも我慢した方だ」
「どこがですか! 手を繋ぐだけならまだしも、あんな場所でキ、キスするなんて……!」
キスという単語を口にするだけで、また顔が熱くなってくる。
深澄さんが飄々としているのも気に食わなくて、言い放った後はそっぽを向いた。
「唇にしなかっただけ偉いだろ? 逆に褒めてもらいたいくらいだ」
「そんなに見境がないなら、あなたに言い寄る女性たち全員に応えて差し上げるくらいの方が自分だって満足できるんじゃないですか? どうしてわざわざ私なんか……」