京都鴨川まねき亭~化け猫さまの愛され仮嫁~
予想と真逆の答えに、驚きの声が飛び出た。女好きうんぬんは置いておいても、どこの世界にやって来たお客を追い返す店主がいるというのだろう。
自分も二週間前までは接客業の仕事をしていたせいで、思わず突っ込みたくなった。
その場がシーンと静まり返る。肝心の女性客はなにも言わない。
(もしかしておとなしく諦めちゃったの⁉)
そう思ったところで、千里の顔が再び璃世の方へ向けられた。
「邪魔ものはいなくなったようだな」
大きなアーモンドアイを弓なりにし、口の両端をキュッと持ち上げた表情は、「狙った獲物は逃さない」とでも言うよう。璃世の背中にゾクッと悪寒が走る。
「さっさと夫婦契約を済ませてしまおう。なに、心配するな。おとなしくしていれば一瞬だ」
(夫婦契約⁉ 一瞬ってなにが⁉)
思いきり叫びたいのに、喉が張りついたように声が出ない。じりじりと顔が近づいてきて、今度こそ唇が重なると思ったそのとき。
横から千里めがけて、なにか白い物体が飛んできた。直撃をくらった千里は、「ぐぅっ」と声を上げてよろめき、頭の横側を押さえながら悶絶している。
千里の足元に落ちた白い物体を見て、璃世は驚愕した。
自分も二週間前までは接客業の仕事をしていたせいで、思わず突っ込みたくなった。
その場がシーンと静まり返る。肝心の女性客はなにも言わない。
(もしかしておとなしく諦めちゃったの⁉)
そう思ったところで、千里の顔が再び璃世の方へ向けられた。
「邪魔ものはいなくなったようだな」
大きなアーモンドアイを弓なりにし、口の両端をキュッと持ち上げた表情は、「狙った獲物は逃さない」とでも言うよう。璃世の背中にゾクッと悪寒が走る。
「さっさと夫婦契約を済ませてしまおう。なに、心配するな。おとなしくしていれば一瞬だ」
(夫婦契約⁉ 一瞬ってなにが⁉)
思いきり叫びたいのに、喉が張りついたように声が出ない。じりじりと顔が近づいてきて、今度こそ唇が重なると思ったそのとき。
横から千里めがけて、なにか白い物体が飛んできた。直撃をくらった千里は、「ぐぅっ」と声を上げてよろめき、頭の横側を押さえながら悶絶している。
千里の足元に落ちた白い物体を見て、璃世は驚愕した。