ひと夏のキセキ
そう言いながら、未読のままのメッセージを見せてくる。


「さぁ。ブロックされたんじゃね?」


絢のことだ。


俺との関わりを全て絶つために葵をブロックしていてもおかしくはない。


「絢がブロックするとは思えないんだけど」


「いや。絢はそういう奴」


どうせ、自分が死んだら俺が傷つく、ショックを受ける、って考えてるんだろう。


顔に全部書いてあるのに、押し通そうとするから、結局俺が折れてしまった。


あのとき、どうするのが正解だったのか分からない。


無理やりでも引き止めるべきだったのか、受け入れて正解だったのか。


「なんであんたたちって上手くいかないんだろね」


遠くを見つめながら吐き出す葵。


「…んなのこっちが聞きてぇよ」
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