ひと夏のキセキ
勢いよく抱きつこうとしてきた海をぶっ飛ばす葵。


ぶっ飛ばされた海を冷ややかな目で受け止める真生と、それを見て笑っている陸。 


この感じ、初めて会った日に似てるなぁ。   


「あれ?遥輝は?さては逃げたな」


遥輝がいないのも、同じだ。


遥輝がいないことにホッとした自分がいる。


なるべく会いたくない。


どう話せばいいかわかんないし…。


「遥輝はタバコ買いに行った。逃げたって何?アイツなんかしたの?」


「いやー、別に?あ、絢ここに座りなよ。アンタたちはそっちね」


葵は私を二人がけソファに座らせ、隣に座ってくれた。


「この教室って何なの?先生たちに怒られない?」


怖い先生に怒鳴り込まれそうで気が気じゃないんだけど…。


それに、普通に灰皿も吸い殻もあるし…。
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