月夜に微笑む君の面影
「ラルフ様、話しはまだ終わっていません」
大きく肩を揺らしながら、ガシリと男は青年の肩をつかむ。
驚いたように目を見開いて、青年と男を交互に見比べるウィンプの視線に気付いたように、青年は小さく苦笑した。
眉間の皺をそのままに、男の手を振り払う。
「これ以上私に何を話せって言うのよ?」
「ですから、きちっと御両親と話を…」
「話し合っても無駄よ。こちらの意見なんてあの夫婦は聞きゃぁしないわ。二人の性格は、私より貴方の方がよく分かってるはずじゃない?」
ふぅと、困ったような、どこか疲れたようなため息が溢れる。
「ですが、だからといって行き先も告げず家を飛び出すなど…」
「あのね、私は子供じゃないのよ?」
「でしたら、ご自分の肩にかかる責任もお忘れなきよう」
「忘れるわけないじゃないの。ちゃんと考えてるわ。」
「でしたらご両親がラルフ様のためを思って…」
そう言う男の語尾を奪うように、ラルフと呼ばれた青年は呆れたように大きなため息をついた。
「もぉ、いい加減にしてちょうだい!誰もそこまで頼んでないわよ。自分のことくらい自分で決めるわ。いくら親でも口を出すべきほどは弁えて欲しいわよ」
「お二人は真剣にラルフ様の事を考え…」
「話がそれだけなら、帰ってちょうだい」
「ラルフ様」
「しばらく一人で考えたいのよ。わかってちょうだい」
少し目を伏せてそう呟いた青年に、諦めたように男は深々と頭を下げた。
そのままそれ以上なにもいわずこちらに背を向けると、霧の中へと踵を返していった。
大きく肩を揺らしながら、ガシリと男は青年の肩をつかむ。
驚いたように目を見開いて、青年と男を交互に見比べるウィンプの視線に気付いたように、青年は小さく苦笑した。
眉間の皺をそのままに、男の手を振り払う。
「これ以上私に何を話せって言うのよ?」
「ですから、きちっと御両親と話を…」
「話し合っても無駄よ。こちらの意見なんてあの夫婦は聞きゃぁしないわ。二人の性格は、私より貴方の方がよく分かってるはずじゃない?」
ふぅと、困ったような、どこか疲れたようなため息が溢れる。
「ですが、だからといって行き先も告げず家を飛び出すなど…」
「あのね、私は子供じゃないのよ?」
「でしたら、ご自分の肩にかかる責任もお忘れなきよう」
「忘れるわけないじゃないの。ちゃんと考えてるわ。」
「でしたらご両親がラルフ様のためを思って…」
そう言う男の語尾を奪うように、ラルフと呼ばれた青年は呆れたように大きなため息をついた。
「もぉ、いい加減にしてちょうだい!誰もそこまで頼んでないわよ。自分のことくらい自分で決めるわ。いくら親でも口を出すべきほどは弁えて欲しいわよ」
「お二人は真剣にラルフ様の事を考え…」
「話がそれだけなら、帰ってちょうだい」
「ラルフ様」
「しばらく一人で考えたいのよ。わかってちょうだい」
少し目を伏せてそう呟いた青年に、諦めたように男は深々と頭を下げた。
そのままそれ以上なにもいわずこちらに背を向けると、霧の中へと踵を返していった。
