激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「わかり、ました」


 なんとか絞り出した声はぎこちなく固い。

 この続きには、なんと言えばいいのだろう。

 まずはお世話になった感謝の言葉を。それから、今後の私の動きはどうしたらいいのかは訊くべき。マンションを出ていくのは早急なほうがきっといいだろうから、その手配と。

 やだ、なんか泣きそう。なんで……。


「ありがとう、ございました。お世話になりました」

「え?」

「マンションからは数日中に出ていきますので。荷物も、元々ほとんど持ち込んでいないですし──」

「おい、ちょっと待て」


 話を止められてやっと、目の前の誕生日プレートから顔を上げて透哉さんを見る。


「何を訳のわからないことを言い出した?」

「え……だって、今の関係を終了するって……」


 それは、私たちの別れを意味するもの。今の関係が終わるということ。


「確かに、偽装婚約者の関係は終えたいとは言った。だけど、俺たちのあのマンションから出ていっていいとは一言も言っていない」


 透哉さんが何を言っているのか訳が分からなくて、じっと彼の目を見つめる。

 それまで真剣だった面持ちがふっと柔らかくなった。


「偽装ではなく、本物になってくれないか?」

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