激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
偽装婚約者になれなんてとんでもない要求をされて、はじめはお断り一択だった。
潤子伯母さんのことを理由に迫られて、断ることが怖くなって渋々始めた関係だったけれど、始まってみれば苦痛に思うこともなくそれなりに楽しく過ごしていた。
いつかは終わりを迎える関係だと頭の中ではわかっていたのに、いざそのときを迎えると複雑な感情に襲われる。
偽装婚約者が解消されて自由の身になれるというのに、だ。
少し前の私なら、「そうですか、わかりました」と即言葉が出てきていたはず。
それが、今はなぜだか躊躇われる。
どうして……?
自問自答するうち、出てきたこたえはひとつ。
私の中で、透哉さんの存在が大きくなり始めているからだという答えに行き着いた。
大きくしてはいけないと、気づく度に自分に言い聞かせていた。
それなのに、やっぱり知らぬ間に存在はどんどん大きくなっていっていたのだ。
まだこの関係が続くと思っていた。それを望んでいた自分もいる。
透哉さんが偽装でも婚約者として私を扱ってくれた時間は、気づかぬうちに彼に少しずつ惹かれていく時間でもあったのだと、今更気づいてしまう。
婚約者だからと、私を扱ってくれたこと。言葉も触れ合いも甘くて優しかった。
だけど、そんなことに気づいたところで私にはどうすることもできない。
終わりの足音が近づいてきている。