激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
「えっ……?」
ひとりなのに思わず声が漏れる。
先に彼の姿を見つけた私の目に飛び込んできたのは、女性に話しかけられる光景。
待ち合わせ場所にあと少しというところで、香椎さんに見知らぬ女性が近づいていったのだ。
話しかけられた香椎さんは女性を見下ろし、何か返事をしている。
知り合いの女性だろうか。
この辺りなら事務所も近いし、彼を知っている人もいるに違いない。
だけど、どうも知人と話しているような様子でもないように窺える。
もしかして、逆ナンパとか……?
このまま行くに行けず、慌てて身を隠せる場所を探す。
駅前案内板の影に隠れて様子を見ているうち、話が終わったのか女性は立ち去っていった。
離れていく女性をちらりと見遣った香椎さんは、隠れて様子を見ていた私へと視線を寄越す。
視線がバチっと重なり、思いっきり肩を揺らしてしまった。
香椎さんはすでに私の存在に気づいていたようで、切れ長の目を細めて私をじっと見つめる。
覗き見をしてしまったような申し訳ない気分に襲われたものの、私が後ろめたい気持ちになる必要はないと堂々と姿を現し約束の場所まで歩いていった。