激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました


「ハァ……」


 普段より少しちゃんとした格好しただけであんなに絡まれるとは。

 それだけ、いつもどうでもいい格好をしているってことなんだけど。

 やっぱり、お店の前に迎えにいくと言われたのを断っておいて正解だったと、今になって心底思っていた。

 もしそんなのを見られたら、面倒くさいことになるに違いない。

 相手は彼氏ではないと言ったところで、あの丈さんのことだから「またまた~」なんてニヤニヤされるのが想像つく。

 すっかり陽の落ちた夜の街を、恵比寿駅に向かって歩いていく。

 今日、香椎さんに会って、状況は何かいい方向に傾くのだろうか。

 そもそも、今日はなんのために会うことになったんだっけ……?

 私がよく知りもしない人と同居なんてできないと言ったから、それなら知ればいいと今日の約束を取りつけられたのだ。

 知ればいいって、食事をして少し話したくらいで同居が承諾できるほどお互いのことなんてわかるはずないと思うのだけど。

 駅前に近づくにつれ、気持ちとは裏腹に鼓動が高鳴り始める。

 心拍を落ち着ける間もなく、〝恵比寿駅〟という駅の文字が見えてくる。


【西口、恵比寿像のところで】


 昨日、店前まで迎えに来られるのを遠慮すると、そんなメッセージが届いていた。

 その言葉通り、恵比寿像のそばに目を引くスーツ姿を見つける。

 まだ距離はあるのに、洗練されたその姿はすぐに目を奪った。

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