激情を抑えない俺様御曹司に、最愛を注がれ身ごもりました
その後、初体験の回らないお寿司も運ばれてきた。
刷毛で醤油を塗ってくれるもの、塩でいただくものもあった。
だけど、私の心中は混乱を極めるばかりで、最高級のお寿司に感動している余裕は皆無だった。
香椎さんが自分に好意を寄せてくる相手に婚約者代理を頼まないのは何故なのか。
私の頭の中はその議題で審議が続いていた。
もし私が香椎さんの立場なら、絶対に利用しない手はないと思う。
香椎さんにも直接言ったけれど、そのほうが相手だって協力的だと思うからだ。
自分を好いてくれている人ならば、何を頼んでも快諾してくれる。面倒なことは起こらないはずなのに。
自分に対して好意を持つ相手が相応しくないというのは、香椎さんの贅沢ではないかと少し思った。
けれど、もしかしたら平凡な一般庶民の私にはわからない、香椎さんだからこそ感じるモテるが故の苦労ももしかしたらあるのかもしれないという考えに至った。
本命にしてとか、そんな見返りを求められるのが嫌とか?
そもそも、一生独身貴族を貫きたい、とか?
女性を寄せ付けないための偽装婚約って、要するに誰とも、特定の女性とお付き合いしたくないとか、そういう事情からって解釈でいいの?