ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 生徒会室を後にして、馬車に乗りました。たった一日で国王陛下の謁見やドレス選び、生徒会へのご挨拶。もう、私ヘトヘトです。
 これからまた殿下と同じ馬車に乗って帰らなければいけないと思うと、いっそのことこの場で気絶したいですね。


「明日も出かけるから準備しておけよ」
「へっ?! もう嫌です! しばらく私たち距離を置くというのはいかがでしょうか……」
「何言ってんだよ。さっきウィンクして合図しただろ? マティアスからリストもらったから、早速明日行くぞ」


 ウィンクの意味、分かりづらいです。そもそも、マティアスのリスト何のため?


「殿下、明日は何をしに出かけるのですか?」
「お前忘れたのか? 街にお忍びで出かけたら、ヒロインに遭遇するはずなんだろう?」


 なんと! ヒロインとレオナルド・ブランデール殿下の出会いイベント! えっ、もう行っちゃうの? マティアスに頼んでおいたムーンライトフラワーもまだ探せていないのに……。

 ……そしてそれ、私も一緒に行く意味ありますかね?


「殿下お一人で行かれたらよろしいのでは」


 (ダンッ!!)


 私の座ってる椅子の横に、殿下が思いっきり靴のまま両足を置きました。えっと……長い脚ですね。椅子の上に足を置きたい時は、お履物はお脱ぎになった方がよろしいかと。
 

「ヒロインが働いてる宿屋がどこか分からないんだよ。このリストを片っ端から当たるのに、一人で終わるわけないだろ」


 だって私もヒロインの顔知らないし……なんて、言えない雰囲気ですね。次はこの長い脚が直接私にダメージを与えてくる気がしますから、大人しく付いて行きましょう。
 
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