ヒロインよ、王太子ルートを選べ!
 エリオットの話によると、この一帯はスペンサー領なのだそうだ。
 リンゼイを両親に紹介するために、リンゼイと共に領地にやって来た。たまたま二人で散歩中に、滝の近くで俺の馬を見つけた。馬の背中にくくりつけられた地図を見て不思議に思った二人は、その地図をたどってこの小屋にたどり着いたそうだ。

 ……これで、コレットの指示の理由が分かった。

 きっとエリオットたちが今週末にスペンサー領を訪れることを知っていたんだろう。どうせこの二人なら、滝でびしょぬれデートをすると踏んだ。
 そこに俺の馬があれば、馬好きのエリオットは気にするに違いない。そこに地図をおき、この小屋まで誘導する。雨でずぶぬれの俺たちを見れば、エリオットは絶対に助けてくれるだろうと思ったんだ。

 コレットは一体何者なんだ。予言者か。

 とにかく作戦が成功して、俺は助かった。ヒロインを捕まえるというミッションも達成したし、俺の樹液は守られた。あとはコイツを虫かご……ではなくて馬車に押し込んで、王都まで戻るだけだ。


「アラン様。私、お二人の仲のことは絶対に言いません。絶対に言いませんから!」
「いや、リンゼイ。誤解なんだ」
「アラン、大丈夫だ。未婚の男女がこんなところで二人きりで過ごしていたなんて、誰にも言わない。この小屋も引き続き使ってもらっていいぞ」

 思い切り誤解しているエリオットとリンゼイに何とか頼み込み、俺たちはスペンサー邸に泊めてもらう事になった。

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