俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
「え、そうだったの? 私、迷惑がられてるのかと思っちゃって」
「――そんなことはないです」

 日菜子の言葉に善は少し怒ったように口をとがらせる。

「氷堂も! 喜ぶときはもっとそれらしい顔をしろ」

(それができたら、こんなにこじらせてない……でも……)

 彼の言うとおりだ。わかってほしい、察してほしいじゃなにも変わらないことは、自分が一番よく知っている。

(この性格を変えたい。それなら、自分から動かないと)

 日菜子は南を見つめ、ゆっくりと口を開く。

「南さん。ランチ、おともをさせてもらえたらうれしいです。よろしくお願いします」
「やだ。頭さげたりするところじゃないでしょ~。行きたいときはいつでも誘ってね! 嫌なときは断ってもいいし」

(誘ってね、かぁ。そんなこと、職場の人に言ってもらえたの初めてだな……)

 感極まって、なんだかジーンとしてしまう。

「よし。じゃあ、今日はかわいい後輩の歓迎ランチだ!」

『かわいい後輩』も、もちろん初めてだ。日菜子はうれしさをかみ締める。
< 16 / 123 >

この作品をシェア

pagetop