俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
「結婚する気がないなら、戸籍にバツがついても問題ないじゃないか。それとも、本心では結婚を夢見てるのか?」

 からかうような瞳でのぞき込まれ、日菜子はカッと顔を赤くする。

「それは絶対にありません!」
「じゃ、いいじゃないか」

 彼は誘惑するような眼差しを日菜子に注ぎながら言った。

「――それとも、俺に溺れるのが怖い?」
「もっとありえません!」

 ムキになって声を荒らげると、彼はしてやったりという顔で笑う。

「じゃあ契約成立だな。よろしく、奥さん」

 とんでもない提案ではあるが、考えてみると日菜子にもメリットはある。

(私自身には魅力がなくても、氷堂地所のひとり娘と結婚したい人は多いはず。彼の言うとおりそれらを断り続けるのは大変だし、誰かを傷つけることになるかもしれない)

 自分が悠馬の一件で少なからず傷ついたので、縁談を断ることで誰かに悲しい思いをさせるのは嫌だった。

(契約結婚を受け入れてみても、いいのかもしれない)
< 44 / 123 >

この作品をシェア

pagetop