俺様御曹司の契約妻になったら溺愛過剰で身ごもりました
 ときめくというより、尊敬に近い気持ちを抱いた。

 室内もとても洗練されていて居心地のいい空間が広がっていた。善に促されてリビングルームのソファに腰を落ち着けた日菜子は部屋をぐるりと見回した。

「素敵なマンションですね。大狼建設の?」
「あぁ、うちの関連会社の開発だな」
「大狼建設の物件は上質だけど決して派手ではなくて……品がいいですよね」

 これはお世辞ではなく本音だ。ルーブデザインの手掛ける物件もそうなのだが、日本古来の〝侘び寂び〟に通ずるものが流れていて、日菜子はとても好きだった。

「まぁ地味ともいえるけどな。氷堂地所は真逆でパッと目を惹くものを作るのがうまいよな」

 根幹事業が建設業か開発業かという違いもあるのだろうが、大狼建設と氷堂地所の趣向は正反対だ。

「悪くいうと、氷堂は成金趣味ですね」
「……連携、大丈夫なんだろうか」
「ですね」
 ふたりは顔を見合わせて同時に笑った。
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