魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
それから二十分ほど後。
予約してあるホテルに到着すると、俺はチェックインカウンターで宿泊人数の変更を申し出た。
もちろん、椎名を俺の部屋に泊めるためだ。
ここまで大人しくついて来たから、俺がどういうつもりかわかっているだろうと思っていたのに。


「あ、あの、神凪さんっ……!」


俺が部屋に押し込むと、椎名が焦った様子で声をあげた。
壁に押さえつけ、両腕を突っ張って囲い込む俺を、喉を仰け反らせて見上げてくる。


「惚けるなよ。お前だって、こうなることくらい予想してたろ」


怯えた瞳にゾクッとするのを堪え、ふんと鼻で笑ってみせる。
彼女が、勢いよくブンブン首を横に振った。


「私は神凪さんが、自分が泊まるホテルを紹介してくれるだけだと……!」

「男の厚意はたいてい下心付きだ。覚えとけ」

「ちょっとだけ、いい人って見直したのにっ……」


太々しく言い捨てる俺に抵抗して、まだ首を振り続ける。
目の下を赤くしているのは、部屋に連れ込んだことを怒っているのか、それともただの混乱か。
どちらにしても、今椎名は俺を強く意識している。
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