魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
マーシャラーの誘導に従い、駐機スポットに到着した。
エンジンを停止し、キャビンに向けベルトサインを消す。
早速、乗客が降機準備を始め、少々騒がしくなった。
しかし、混乱は感じられない。


「ふう……」


俺はようやく肩の荷が下りた気分で、低い天井を仰いだ。


「ナイスランディング」


水無瀬から声をかけられ、無意識に口元が緩んだ。


「サンキュ」

「悔しいな。差つけられた気分だ」


ボヤくように呟く彼に、久遠さんがふっと口角を上げる。


「ウィンドシアー下だろうが、パイロットならランディングさせて当然だ」


手厳しい合いの手に、水無瀬がひくっと頬を引き攣らせたのを、視界の端に捉えた時――。


『コックピット、聞こえますか』


カンパニーラジオで呼びかけられ、俺は気を引き締めた。


「はい。コックピット、神凪です」

『グラウンド、佐伯です。ナイスランディング。お疲れ様でした』


返答を耳に、副操縦士席側の窓からグラウンドを見下ろす。
佐伯の姿は見えないが……。


「お疲れ様です。……悪い。ちょっと荒っぽいランディングになった」


久遠さんと水無瀬の耳を気にして、やや声を低めて返答する。
『いや』と、短い返事があった。


『この天候じゃ、パーフェクトと言っていいだろ』

「そう言ってもらえると助かる」
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