魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
正直、ほんのちょっとカルチャーショックだった。


でも、毎日呆然とはしていられない。
ただでさえ体格や体力的なハンデがあるため、なによりも私自身が女性だという甘えを捨てなければ、先輩たちに追いつけなかった。


ハンガーと呼ばれる格納庫に入る時は作業着で、必ずヘルメットを被る。
やや色の薄い焦げ茶色の髪は、肩甲骨にかかるくらいの長さが定番だ。
ショートヘアだとすぐに襟足が気になってくるけど、ある程度長くしておけば、少し伸びても放っておける。
仕事中は後ろで一つに纏めていた方が邪魔にならないし、業務後ペシャンコになった髪を気にする必要がなく楽ちんだ。


やや下がり気味の大きな目のせいで童顔が引き立つ顔立ちだけど、気張ってメイクをすると、季節によっては汗で流れて無残な顔になるから、出勤時もほとんどスッピン。
服装も至ってラフなデニムスタイルだから、二十六歳の今でも学生、下手したら高校生に間違われることもしばしば。


友人にも『女捨ててる』と言われるほど、見た目も仕事中心の私だけど、就職したての頃には同い年の彼がいた。
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