魅惑な副操縦士の固執求愛に抗えない
今野さんは、虚を衝かれたように目を瞬かせた。


「大きな飛行機のお世話をして、上機嫌で空に送り出せるのは航空整備士です。そこに気付いた時、これ以上に楽しい仕事はないって確信しました」

「……そんなとこまで、佐伯君と同じ」

「え?」

「だから私も、そんな彼が整備した飛行機に乗って仕事できる自分を誇りに思う」


晴れ晴れした顔で胸を張る彼女に、私は言葉に詰まった。
今野さんは、目を細めてふふっと笑って――。


「この間、ごめんなさい。驚かせちゃって」


おもむろに謝られて、ビクッと手が震える。
なんのことを指しているかは、あの時の二人の姿が網膜に焼きついたままだからわかる。
思い切って視線を流すと、彼女もそれを待っていたかのように私に顔を向けた。


「椎名さんが佐伯君の後輩で、神凪君の彼女でしょ?」


目元を緩めて訊ねられ、私はこくりと喉を鳴らす。


「……いえ」


目を伏せ短く答えると、「え?」と聞き返された。


「彼女っていうのは、あの人が勝手に。私はちゃんと断ってて」

「つまり、神凪君に絶賛口説かれ中?」

「! それは、その……」


目を瞠る彼女に『ただの交換条件』と口走りかけて、すんでのところでのみ込む。
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