病める時も健やかなる時も、その溺愛はまやかし~死に戻りの花嫁と聖杯の騎士
わたしたちは屋台をめぐり、建国祭の縁起物の花飾りを購入して、広間の中央の大樹に向かう。すでに、ヨルクとアニーは先に来て、待っていた。簡易の休憩所としてテントが張られた近くまで来ると、わたしたちに気づいたヨルクが駆け寄ってきた。
「あの、実は――」
ヨルクが言いにくそうにユードに目配せする。
「オーベルシュトルフ侯爵令嬢の護衛がケガをして、ユード様に護衛を頼みたいと仰って……」
「はあ?」
ユードが素っ頓狂な声を出す。
「なぜ、俺が?」
「以前に、護衛騎士だったから、勝手がわかっている人がいいって――」
ヨルクが困惑気味に言えば、ユードはぐっと眉を寄せた。
「護衛がケガって嘘くさいな。俺はセシリアから離れるわけにいかない。どうしてもって言うなら、ヨルク、お前が送って差し上げろ」
「え、俺がっすか?」
そうこうしているうちに、テントからディートリンデ様が顔を覗かせ、ユードを見て、満面の笑みを浮かべる。そいてあの、いつもの香水の香りを振りまきながら、てこちらにやってきた。
「あの、実は――」
ヨルクが言いにくそうにユードに目配せする。
「オーベルシュトルフ侯爵令嬢の護衛がケガをして、ユード様に護衛を頼みたいと仰って……」
「はあ?」
ユードが素っ頓狂な声を出す。
「なぜ、俺が?」
「以前に、護衛騎士だったから、勝手がわかっている人がいいって――」
ヨルクが困惑気味に言えば、ユードはぐっと眉を寄せた。
「護衛がケガって嘘くさいな。俺はセシリアから離れるわけにいかない。どうしてもって言うなら、ヨルク、お前が送って差し上げろ」
「え、俺がっすか?」
そうこうしているうちに、テントからディートリンデ様が顔を覗かせ、ユードを見て、満面の笑みを浮かべる。そいてあの、いつもの香水の香りを振りまきながら、てこちらにやってきた。