病める時も健やかなる時も、その溺愛はまやかし~死に戻りの花嫁と聖杯の騎士
10、作戦会議と証拠集め
建国祭から一夜明け、わたしは居間のソファで行儀悪くクッションを抱きしめて、眉間に皺を寄せていた。
「なんですか、その顔は」
お茶のセットをテーブルの上に置いたアニーが呆れる。
「なんだったのかしら、昨夜の」
「ああ、オーベルシュトルフ侯爵令嬢の、ディートリンデ様? いくら何でも非常識ですわよね」
「あれは、やっぱりユードに送らせるべきだったのかしら?」
「そんな必要ありませんよ、たとえ以前の護衛騎士でも、ユード様はもう、お嬢様の旦那様なのですから」
名ばかりだけどね……わたしは思いつつ、綺麗に色の出た紅茶の香りをかぐ。
「んー、いい香り」
「お砂糖はお二つでよろしい? それともアプリコットジャム?」
「今日はジャムにしようかしら」
ジャムとブランデーを一滴、ふくよかな香りを楽しみつつ、熱い紅茶を一口飲んで、わたしは満足のため息を零す。
「それにしても――ディートリンデ様は、わたしたちが建国祭に出かけるって知っていたのかしら?」
「なんですか、その顔は」
お茶のセットをテーブルの上に置いたアニーが呆れる。
「なんだったのかしら、昨夜の」
「ああ、オーベルシュトルフ侯爵令嬢の、ディートリンデ様? いくら何でも非常識ですわよね」
「あれは、やっぱりユードに送らせるべきだったのかしら?」
「そんな必要ありませんよ、たとえ以前の護衛騎士でも、ユード様はもう、お嬢様の旦那様なのですから」
名ばかりだけどね……わたしは思いつつ、綺麗に色の出た紅茶の香りをかぐ。
「んー、いい香り」
「お砂糖はお二つでよろしい? それともアプリコットジャム?」
「今日はジャムにしようかしら」
ジャムとブランデーを一滴、ふくよかな香りを楽しみつつ、熱い紅茶を一口飲んで、わたしは満足のため息を零す。
「それにしても――ディートリンデ様は、わたしたちが建国祭に出かけるって知っていたのかしら?」