先生と私の三ヶ月
 シャンゼリゼ大通りを撮った後はエッフェル塔を撮り、セーヌ河沿いの景色を撮り、アレクサンドル三世橋を撮り、ノートルダム寺院を撮り、最後にルーヴル美術館を撮り私たちはオペラ座大通りに戻って来た。私たちが宿泊するホテルがあった。

 回転ドアをくぐって中に入るとお城の大広間のような空間が広がる。高い天井から下がるシャンデリアや、高級感あるソファが広いロビーに並び、BGMにはクラッシックが流れていた。

 モンサンミッシェルで泊まったホテルとは違い、豪華なホテルなので、少し緊張する。

 レセプションカウンターには黒スーツの身なりのしっかりしたホテルマンたちが立ち、訪れる客たちと英語やフランス語でやり取りをしていた。

 数時間前、モンサンミッシェルから到着して最初に訪れたのはこのホテルだった。先生は私の部屋も手配してくれていて、今夜は別々の部屋に泊まる。部屋は先生と同じ六階にあったけど、離れた場所だった。もしかしたら先生が私と一緒にいると疲れるから離れた場所の部屋を取ったのかも。

「レセプションカウンターに寄るぞ」
 先生の言葉に頷いて、私も一緒にカウンターまで行った。
 先生はチェックインした時と同じ流暢な英語で真面目そうな眼鏡のホテルマンとやり取りをし、ホテルマンから大きな紙袋を二つ受け取った。それは一流ブランド店のロゴが印刷されていた。

「お前にやる」
 先生から紙袋を渡されてびっくり。

「え?」
 訳がわからず先生を見る。
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