先生と私の三ヶ月
「純ちゃん、物凄く優しい声で電話の相手と話していたんです。『あなたは大丈夫?』って聞く声が大切な人に向けられている感じで。そんな風に私は気遣われた事がなかったからショックでした。その後も『会いたい。愛している』って言葉が聞こえて。私は純ちゃんに愛されていないとハッキリわかったんです」

 純ちゃんの本当の気持ちが詰まっている声だった。私には一度もそんな声で話してくれた事はない。純ちゃんの心は私にないから。そこまでわかっているのに、私は……。

「その夜の事を純ちゃんには話していません。話してしまったら、純ちゃんが電話の人の所に行ってしまう気がして怖かったんです。両親が亡くなった後は一人になるのが怖くて、純ちゃんに捨てられないようにしがみついています。これじゃあ、いけないって思うんですけど」

 声が詰まる。
 自分のダメさに嫌になる。本当に私は臆病だ。
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