先生と私の三ヶ月
「なんか今日子ちゃん、キラキラしているね」
 恵理さんの話に笑っていたら、急にそんな事を言われた。

「えっ」
「お肌も艶々で。一昨日会った時とは別人みたい。何かいい事あった?」
 
 ――頼む。お前が必要なんだ。

 昨夜の先生の言葉を思い出した。
 胸がドキドキして急に頬に熱が集まる。

「何もないですよ」
「今日子ちゃん、顔が真っ赤だよ」
 クスクスと恵理さんがからかうように笑った。

「わかった。旦那さんと連絡取ったんでしょう! 好きな人と話すと元気が出るよね。私もそう」
 好きな人って言葉に、純ちゃんよりも先生が浮かぶ。今頃先生は取材先でどうしているだろう。

「今日子ちゃんの所はご主人が4つ年上で、結婚して5年だったかしら?」
「はい」
「まだまだ恋人気分でいいわね」
「そんな事ないですよ。恵理さんは旦那さんとどうなんですか?」
「うちは」と言いかけて、恵理さんが急に暗い顔をした。聞いてはいけない事を聞いてしまったんだろうか。
 恵理さんの表情がどんどん沈んでいく。そして大きな瞳に涙が浮かんだ。
< 141 / 304 >

この作品をシェア

pagetop