先生と私の三ヶ月
恵理さんは覚悟を決めるように3杯目のビールを飲み干すと、静かに話し始めた。
「彼と出会ったのは7年前なの。オーストラリアでのLNG(液化天然ガス)プラント建設プロジェクトの時に知り合って。その時、オーストラリアに長期出張していて。彼もそこにいて。彼と毎日、意見の違いからケンカになったの。本当に彼ったら強情で、嫌な奴なのよ。日本人同士だからって遠慮が全くなくて。でも、ある時、建設現場で資材が倒れて私を庇ってくれたの。それで彼が腕を骨折して、そこから彼を意識するようになって」
恵理さんが切なそうに息をついた。
「オーストラリア滞在の最後の日に彼に好きだと告白されたの。もちろん断った。彼の言葉が嬉しかったけど、私は結婚していて、彼の気持ちには応えられなかった。そこで終われば良かったんだけど、その後も、彼と仕事で関わる事があって。日本で再会した時、彼が明日結婚すると聞いて心が揺れてしまった。いけない事だとわかっていたけど、次の日に結婚する彼に抱かれたの。本当にそれで忘れようと思った。彼の事は思い出にしようって」
恵理さんの声が涙ぐんだ。
「でもね、体の関係を持ってしまったから、より強く彼の事を好きになってしまったの。私も結婚していて、彼も結婚しているのに、私たち会う度に体を重ねてしまった。彼の奥さんに申し訳ないし、夫にだって悪くて」
恵理さんが苦しそうに眉を顰める。
先生に会う前の私だったら、恵理さんの話を理解できなかった。夫がいる身で他に好きな人がいて、その上、体の関係を持つなんて、ありえないと、恵理さんに怒ったかもしれない。
でも、今はわかる。
私も恵理さんと同じだ。純ちゃんがいるのに、先生が好きだ。
「恵理さん、わかります。私も好きな人がいますから」
恵理さんが驚いたように焦げ茶色の瞳を見開いた。
「彼と出会ったのは7年前なの。オーストラリアでのLNG(液化天然ガス)プラント建設プロジェクトの時に知り合って。その時、オーストラリアに長期出張していて。彼もそこにいて。彼と毎日、意見の違いからケンカになったの。本当に彼ったら強情で、嫌な奴なのよ。日本人同士だからって遠慮が全くなくて。でも、ある時、建設現場で資材が倒れて私を庇ってくれたの。それで彼が腕を骨折して、そこから彼を意識するようになって」
恵理さんが切なそうに息をついた。
「オーストラリア滞在の最後の日に彼に好きだと告白されたの。もちろん断った。彼の言葉が嬉しかったけど、私は結婚していて、彼の気持ちには応えられなかった。そこで終われば良かったんだけど、その後も、彼と仕事で関わる事があって。日本で再会した時、彼が明日結婚すると聞いて心が揺れてしまった。いけない事だとわかっていたけど、次の日に結婚する彼に抱かれたの。本当にそれで忘れようと思った。彼の事は思い出にしようって」
恵理さんの声が涙ぐんだ。
「でもね、体の関係を持ってしまったから、より強く彼の事を好きになってしまったの。私も結婚していて、彼も結婚しているのに、私たち会う度に体を重ねてしまった。彼の奥さんに申し訳ないし、夫にだって悪くて」
恵理さんが苦しそうに眉を顰める。
先生に会う前の私だったら、恵理さんの話を理解できなかった。夫がいる身で他に好きな人がいて、その上、体の関係を持つなんて、ありえないと、恵理さんに怒ったかもしれない。
でも、今はわかる。
私も恵理さんと同じだ。純ちゃんがいるのに、先生が好きだ。
「恵理さん、わかります。私も好きな人がいますから」
恵理さんが驚いたように焦げ茶色の瞳を見開いた。