先生と私の三ヶ月
冷ややっこと、枝豆と日本酒。私に気を遣ってか純ちゃんはそれだけしか注文しなかった。
「心配してたんだぞ」
オーダーが終わると、純ちゃんが目尻が上がり気味の切れ長の目を向けた。純ちゃんの顔立ちは全体的に堀が深くて、わりと男らしい。日本にいた時よりもさらに小麦色になった顔は、外に出ている事が多いと感じさた。
「メール出したのに、返信ないし」
怒ったような、いじけたような声で言われ、ムッとする。
「それは純ちゃんでしょ。私、何通もメール出したけど」
「忙しかったんだ。遅くなったが返事は出した」
返事くれてたんだ。
「ごめん。スマホ失くしちゃって、まだチェック出来ていない」
「出版社の人に聞いたよ。パリに来て早々、荷物を盗まれて大変だったって」
「えっ、純ちゃん、出版社に連絡したの?」
「今日子と連絡が取れないから、そうするしかないだろう。それでパリのホテルも教えてもらったんだ」
「そうだったんだ。なんかごめん」
わざわざ出版社に問い合わせてくれたんだ。私の事なんて1ミリも興味がないと思っていたから嬉しい。
「もう聞いてよー! 荷物無くして大変だったんだよ! お財布もスマホも無いしで、本当、いきなり無一文になって、どうなるかと思った。でもね、親切な日本の方に出会えて助けてもらえたの。今日もその人と会っていて」
純ちゃんが疲れたようなため息をつき、紺色のストライプのネクタイを緩めた。家でもよく見た光景だ。私が話し出すと純ちゃんはため息をついてから、テレビを見たり、本を読んだりする。私は黙るしかなくて、いつも言いたい事の半分も言えなかった。
そんなに私の話ってつまらないのかな。
ふと、昨夜の先生が浮かぶ。先生は最後まで私の話に耳を傾けてくれた。先生と話している時はいつも楽しい。楽しいと思うのは、先生がちゃんと私の話を聞いてくれていたからだったんだ。今さらそんな事に気づいて、先生が恋しくなる。
「心配してたんだぞ」
オーダーが終わると、純ちゃんが目尻が上がり気味の切れ長の目を向けた。純ちゃんの顔立ちは全体的に堀が深くて、わりと男らしい。日本にいた時よりもさらに小麦色になった顔は、外に出ている事が多いと感じさた。
「メール出したのに、返信ないし」
怒ったような、いじけたような声で言われ、ムッとする。
「それは純ちゃんでしょ。私、何通もメール出したけど」
「忙しかったんだ。遅くなったが返事は出した」
返事くれてたんだ。
「ごめん。スマホ失くしちゃって、まだチェック出来ていない」
「出版社の人に聞いたよ。パリに来て早々、荷物を盗まれて大変だったって」
「えっ、純ちゃん、出版社に連絡したの?」
「今日子と連絡が取れないから、そうするしかないだろう。それでパリのホテルも教えてもらったんだ」
「そうだったんだ。なんかごめん」
わざわざ出版社に問い合わせてくれたんだ。私の事なんて1ミリも興味がないと思っていたから嬉しい。
「もう聞いてよー! 荷物無くして大変だったんだよ! お財布もスマホも無いしで、本当、いきなり無一文になって、どうなるかと思った。でもね、親切な日本の方に出会えて助けてもらえたの。今日もその人と会っていて」
純ちゃんが疲れたようなため息をつき、紺色のストライプのネクタイを緩めた。家でもよく見た光景だ。私が話し出すと純ちゃんはため息をついてから、テレビを見たり、本を読んだりする。私は黙るしかなくて、いつも言いたい事の半分も言えなかった。
そんなに私の話ってつまらないのかな。
ふと、昨夜の先生が浮かぶ。先生は最後まで私の話に耳を傾けてくれた。先生と話している時はいつも楽しい。楽しいと思うのは、先生がちゃんと私の話を聞いてくれていたからだったんだ。今さらそんな事に気づいて、先生が恋しくなる。