先生と私の三ヶ月
「ところでロビーで二時間も待ったぞ。どこ行ってたんだよ。小説家の先生もいないし」
 純ちゃんが苛立ったように私を見た。

「ごめん」
 忙しい純ちゃんを二時間も待たせてしまって、悪い気がする。

「今日子一人で帰って来たよな。今日子みたいなふわふわしたのが夜、一人で出歩くなんて危ないだろ。全く、危ない事はさせないと言ったくせに」
 純ちゃんがブツブツと文句を言う。

「ふわふわしたのって、綿じゃないんだから」
「今日子は綿みたいだよ。一人で何も出来ないし」
 純ちゃん、そんな風に私の事を思っていたんだ!

「そんな事ないよ! 荷物無くしたけど、モンサンミッシェルまで一人でたどり着けたんだから。パリの街を一人で歩くのだって平気。私、そこまで子どもじゃないよ。純ちゃんんこそ、頼るなって言ったくせにちょっと過保護すぎるんじゃないの?」

 いつもは心の中で反論していた言葉が、スラスラと口から出た。先生とやり合っていた調子が出てしまった。

 純ちゃんが私の勢いに目を丸くする。
< 150 / 304 >

この作品をシェア

pagetop