先生と私の三ヶ月
「そういえば母さんが心配してたぞ」
 純ちゃんがお猪口を置いて、低い声で言った。

「えっ、お義母さん?」
「今日子に手紙を出したそうだ。いつもだったら電話をくれるのに何の音沙汰もないから、寝込んでいるんじゃないかって、僕に電話が来て」
 お義母さんから手紙をもらっていた事をすっかり忘れていた。

「母さんがうるさいから、それで出版社に電話した」
 お義母さんに言われて電話したのか。そうだよね。やっぱり純ちゃんは私の事なんて1ミリも興味がないんだ。
 ぐいっと、お猪口のお酒を飲み干した。キリッとした辛みが胸に沁みる。

「母さん、今日子が心配なんだよ。今日子のお父さんとお母さんが立て続けに亡くなったから」
 母のお葬式の時、お義母さんに優しい言葉をかけてもらった。
 合わないと感じる所もあるけど、いい人なんだよね。

「お盆はちゃんと帰って来なさいよって叱られたよ。新盆だもんな。今日子のお母さん」
 もうお母さんが亡くなって最初のお盆を迎えるんだ。お父さんの時も思ったけど、あっという間。生きていると毎日、いろんな事があって慌ただしいからかな。

 特に先生と関わってからは、本当に毎日が目まぐるしい。悲しみを感じる余裕もないや。
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