先生と私の三ヶ月
「そんな顔をするな。今夜は抱いてやるから」
　純ちゃんが乱暴にネクタイを解いた。

――あなたは大丈夫？
――あなたに会いたい。愛している。

　いつか電話の相手に純ちゃんが言っていた言葉が蘇る。
　あの言葉を聞いて胸が引き裂かれる思いだった。私には微塵も愛情がないんだと、どれだけ傷ついたか。
　
　目の前の純ちゃんが憎らしい。
　好きな人がいるくせに、私を抱こうとするなんて酷い。頭に来る。

「帰って！　疲れてるの！」
「今日子、そんな事言うなよ」
　強引に唇が重なり、純ちゃんの手がTシャツに伸びて、胸を掴まれた。背筋がゾッとする。抵抗すると、ソファに叩きつけられ、純ちゃんが覆いかぶさってくる。いくら夫婦だからって無理矢理だなんて酷い。

「やめて。やだ」
　ゴツゴツした手で雑に体を触られるのが気持ち悪い。
「今日子だって久しぶりに楽しみたいだろ」
「嫌だ。いや」
「嫌がっているのを無理矢理して欲しいのか？　今日子はエロいな」
「違う。そうじゃなくて」
　純ちゃんがまた唇を合わせてくる。お酒の匂いがするキスがいや。
「イヤー！　やめて！！」
　堪らなくなって叫んだ。

「離れろ！」　
　怒鳴り声が響いた。
　次の瞬間、純ちゃんが吹き飛んだ。
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