先生と私の三ヶ月
 ダイエットまでして頑張って先生のアシスタントになったのに、どうして上原さんは辞めてしまったんだろう。
 理由を聞こうとしたら、先に口を開いたのは上原さんだった。

「葉月さんはいつからアシスタントを?」
「えーと、7月1日から」
 上原さんが驚いたように目を見開いた。

「今日は8月10日だから、もう40日望月先生のアシスタントをしているんですか?」
 上原さんが大げさな感じで言った。
 そっか。今日で40日か。あっという間だったな。

「まあ、そういう事になりますね」
「もしかして先生とパリに行ったのは葉月さん?」
「はい。モンサンミッシェルとパリに行きました」
「うらやましいー! 私も行きたかった!」
「そうですか?」
「黒田さんから聞いて、私もアシスタント続ければ良かったと思いました。でも、私じゃダメだったみたいで」
 上原さんの声が沈んだ。

「私じゃ、先生の期待に応えられなかったんですよね」
「期待?」
「あの、葉月さん。大丈夫ですか?」
 心配そうに上原さんがこっちを見た。

「先生にその、キスとか迫られませんでしたか?」
「えっ」
 ドキッとした。

「やっぱり。そうなんですか」
 上原さんがため息をついた。
 胃の辺りが締め付けられて、不快な気持ちになる。まさか先生は上原さんにも……。

「あの、上原さんは先生に」
「キスされました。だから辞めたんです」
 信じられない。先生がそんな事をするなんて。
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