先生と私の三ヶ月
 ここ美味しいんですよと、上原さんが連れて来てくれたのは、集学館から徒歩5分圏内にあるイタリアンレストラン。

 中に入るとカジュアルな雰囲気で女性客が多い。みんな上原さんみたいにオフィスで働いている女性という感じがした。

 お盆休み期間に入っていると思っていたけど、意外とそうでもないらしい。

「ナポリタンがめちゃくちゃ美味しいんです」
 奥のテーブル席に座ると、大きな目をキラキラとさせて上原さんが言った。

「じゃあ、ナポリタンにしようかな」
「私もナポリタンにします」
 上原さんが手をあげると、中年の女性がオーダーを取りに来てくれた。

「ランチセットのナポリタン二つでお願いします」
 上原さんのハキハキした声が響いた。
 上原さんは私が迷わないように気を遣ってくれるし、仕事ができそうに見える。顔だって可愛いし、お洒落だし、若いし、魅力的な女性だし、どうして望月先生のアシスタントが続かなかったんだろう?

「どうしました?」
 上原さんを見ていると目が合った。

「あの、上原さんも望月先生のアシスタントを?」
 上原さんがゆっくりと頷いた。

「実は私、前は今より10キロ太ってて。だから先生のアシスタントの条件に合わなくて。だけど、どうしても望月先生のアシスタントをやってみたかったから頑張ってダイエットしたんです。それで二ヶ月で10キロ減量しました」
「すごーい! たった二ヶ月で10キロも痩せたんですか? 上原さん、かなり努力したんですね」
「はい。めっちゃ頑張りました。その事も面接でアピールして、アシスタントに採用してもらえました。でも私、三日で辞めてしまって」

 上原さんが沈んだ表情を浮かべてため息をついた。
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